ここ数年は、ヘッジファンドの運月戦略を用いた公募投資信託が証券会社等で販売されるようになるなど、より身近な存在になってきています。

どのような投資環境でもプラスの運用成果をあげることを目指すのがヘッジファンドです。

 

ヘッジファンドの特徴について

 

ヘッジファンドに明確な定義はないのですが、一般的には以下のような特徴があります。

 

①投資会社とはみなされない私募であるため、投資対象や手法に関する規制がなく、運用の自由度が高いのが特徴です。

また、パフォーマンスを上げるためにデリバティブを用いて高水準のレバレッジが用いられることもあります。

 

②いかなる投資環境であっても資金を増やす「絶対収益」を目指しています。

 

③投資家は機関投資家や年金基金などが中心です。

そのため個人投資家は、機関投資家などを経由して間接的に購入したり、あるいはヘッジファンドを組み入れた公募投資信託を証券会社等で購入する形態が多くなります。

 

④投資家が解約できるタイミングは、四半期ごと半年ごとなどあらかじめ決められた時期に制限されています。

 

⑤運用報酬は 、一般に資産残高に対する管理報酬と成功報酬からなります。

成功報酬は 、例えば過去の基準価額の高値など、あらかじめ決められた一定基準を超えた部分に発生するハイウォーターマーク方式が一般的です。

 

 

ヘッジファンドの主要な戦略について

 

株式ロング・ショート戦略

株式市場の変動による収益とともに、個別証券の変動要因からも収益を狙う手法です。

相対的に割安な個別証券のロングポジションと相対的に割高なショートポジションを組み合わせて、証券価格が適正水準に修正されることで発生する収益を狙います。

あわせてロングポ ジションの持ち高を一般的に大きくしており、市場の上昇による収益も狙います。

 

グローバル・マクロ戦略

世界各国のGDP、金利、為替レートなどの経済マクロ指標などの予測に基づき、株式、債券、コモディティ、為替など、世界の様々な金融商品をロングポジションやショートポジションで持つ手法であり、レバレッジをかけた大きなポジションもとります。

 

レラティブ ・バリュー戦略

レラティブ・バリューは相対価値を意味し、理論価格と市場価格の歪みや個別証券間の相対的な価格の歪みを見つけ、その解消に伴って発生する収益を狙う投資手法です。

 

イベント・ドリブン戦略

合併、買収、提携、リストラなどの企業価値に大きな影響を与えるイベントが、市場価格に反映されるまでの価格の歪を投資機会とする手法です。

 

株式マーケット・ニ ュートラル戦略

株式市場全体の変動に左右されることなく、個別証券の変動要因から収益を狙う手法です。相対的に割安な個別証券のロングポ ジション (買い持ち)と相対的に割高なショートポジション (売り持ち=空売り)を適切な割合で組み合わせることで、市場(マーケットリスク)を理論的に除去し、いずれ証券価格が適正水準に修正されることで発生する収益を狙う手法です。個別証券の分析にあたってはファンダメンタルズ分析を中心に行われています。

 

アービトラージ戦略

アービトラージ (裁定取引)戦略には特に様々な定義があります。例えば、同一証券の現物価格と先物価格など本来一物一価のものの価格差 (ミス・プライス)を見つけて、割安なほうについてはロング (買い)、 割高なほうについてはショー ト(売り)を同時に行うことにより、リスクを負わずに得られる利益を狙う戦略です。