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国民健康保険
国民健康保険といっても日本全国で統一の保険ということではなく市町村ごとにそれぞれの国民健康保険があります。
また、医者や建設業者などの同業者で作る国民健康保険組合もあります。
被保険者
市区町村が行う国民健康保険には健康保険などの被保険者とその被扶養者や生活保護を受けている世帯を除いてその市区町村に住所がある人は全て加入しなければならないことになっており加入手続きは居住地区の市区町村役場で行います。
ただし、被用者保険の被保険者、共済組合員、加入者とそれらの被扶養者、後期高齢者医療制度の規定による被保険者などは除外されます。
保険料
保険料は、市町村ごとの財政事情に応じて決められており、全額が被保険者負担となります。
給付内容
・療養の給付
・保険外併用療養費
・療養費
・移送費
・高額介護合算療養費
・葬祭費
・特別療養費
・入院時食事療養費
・入院時生活療養費
・訪問介護療養費
・高額療養費
・出産育児一時金
・葬祭の給付
※保険者の任意給付
・傷病手当金
・出産手当金
健康保険の取り扱いと異なり業務上外を問わず疾病、負傷、死亡、出産に関して保険給付を行います。
診療を受ける際には、世帯主、家族とも医療費の一定割合を一部負担金として支払います。負担割合は健康保険と同じです。
後期高齢者医療制度
75歳になるとそれまで加入していた国民健康保険や健康保険から脱退し、全員、後期高齢者医療制度の被保険者になります。
※65歳以上75歳未満の人で一定の障害状態であると広域連合から認定された人も含みます。
保険料
所得に応じて決まる所得割額と加入者が等しく頭割りで負担する均等割額とで構成されます。
原則として、都道府県内均一です。
また、被保険者の資格を取得した日の前日まで被用者医療保険の被扶養者であった場合などの一定要件を満たす人に対し保険料の軽減措置があります。
徴収方法
特別徴収 | 公的年金制度から年額18万円以上の年金を受給している場合には公的年金から天引きされます |
普通徴収 | 後期高齢者医療制度の保険料と公的介護保険の保険料との合計額が年金受給額の2分の1を超える場合などは納付書や口座振替による納付となります |
自己負担割合
自己負担割合は1割です。
現役並み所得者は3割負担です。(現役並み所得者とは、住民税課税所得が145万円以上の人のことです)
なお、現役並み所得者に該当する人であっても次に該当する場合は申請すると1割負担となります。
①同一世帯に被保険者が一人の場合、その人の収入の合計金額が383万円未満のとき
②同一世帯に被保険者が一人の場合、その人の収入の合計金額が383万円以上で、同一世帯の70歳から74歳までの人との収入の合計額が520万円未満のとき
③同一世帯に被保険者が複数いる場合、加入者全員の収入合計金額が520万円未満のとき
給付内容
給付内容は、国民健康保険の給付内容と同じです。
公的介護保険
介護保険制度は、平成12年4月に創設され、その後平成26年の法改正において地域包括ケアシステムの構築、費用負担の公平化などの措置が講じられています。
介護保険の保険者は、市町村です。
被保険者
介護保険の被保険者は、第1号被保険者と第2号被保険者に区分されています。
第1号被保険者 | 第2号被保険者 | |
加入対象者 | 65歳以上 | 40歳以上65歳未満の医療保険加入者 |
利用できる人 | 要介護者・要支援者 | 要介護者・要支援者のうち、特定疾病による者 |
保険料 | 市区町村が特別徴収または普通徴収
所得段階別に定額保険料 |
医療保険者が医療保険料と一緒に徴収
国保=所得割、均等割等に按分(国庫負担あり) 健保=保険料率別(事業主負担あり) |
利用者負担
介護保険では自己負担部分を利用者負担といいます。
保険給付の対象費用の原則1割負担ですが、第1被保険者で一定所得以上の人は2割負担となります。
介護サービス計画の費用は、全額が介護保険から給付され自己負担がありません。
高額介護サービス費
介護保険では利用者負担が著しく高額になる場合は高額介護サービス費が支給されます。
対象者 | 自己負担限度額 |
現役並所得者または世帯の誰かが市区町村民税を課税されている | 44,400円(世帯) |
世帯の全員が市区町村民税を課税されていない | 24,600円(世帯) |
前年の合計所得金額と公的年金収入額の合計が年間80万円以下 | 24,600円(世帯)
15,000円(個人) |
生活保護を受給している | 15,000円(個人) |
保険給付の手続き
介護保険では要支援状態、要介護状態と認定された人に保険給付が行われます。
■保険給付の手続きの流れ
①申請
被保険者本人もしくはその家族などが本人の住んでいる市区町村の介護保険担当窓口で申請書類に記入し提出する
②認定調査
被保険者の心身の状況だけでなくその置かれている家庭環境などについて市区町村職員などが訪問調査を行います。
③審査・判定
介護認定審査会による審査判定、その後市町村による認定および通知という流れになります。
介護認定の有効期限は、初回認定が原則6カ月間です。
認定の有効期間を経過しても介護が必要な時は介護認定の更新が必要となります。
更新の手順は初回と同様で、有効期間満了日の60日前から満了日までの間に申請できます。
更新認定の有効期限は、原則12カ月、最長36カ月となっています。
給付の内容
介護給付には施設サービス、居宅サービス、地域密着型サービスがあります。
施設サービス
・介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
日常生活上、常に介護が必要である人(要介護3以上)に適した施設です。
介護及び介護職員による日常的な健康管理は行われるが医療サービスはほとんど行われないことから常に医師の手当てを必要とする人は入所でません。
・介護老人保健施設
病状が安定期にあり入院治療をする必要まではない人に在宅復帰を目指しながら日常生活上の様々な介護と共にリハビリテーションなどを集中的に行う施設です。
・介護療養型医療施設
継続的に医療サービスを受けながら長期療養が必要な人のための施設です。
従来の病院の入院施設に比べ介護機能に重点を置いている点が特徴です。
居宅サービス
・訪問介護
訪問介護員(ホームヘルパー)が訪れ介護を行うサービスです。
・訪問看護
入院した人の容態が安定し自宅療養する場合などに看護師資格を持つ訪問看護師などが訪問看護をするサービスです。
・訪問入浴介護
訪問ヘルパー看護師などがチームを組み入浴介護を専門に行うサービスです。
・訪問リハビリテーション
病気障害が原因で通院できない人のために理学療法士や作業療法士などが自宅を訪問しリハビリテーションを行うサービスです。
・通所介護
食事や入浴、趣味活動などを行いながら一日を過ごします。
・通所リハビリテーション
リハビリテーションに重点を置き医師の管理のもと心身に障害を持つ人を対象とするサービスです。
・短期入所生活介護
日常生活上の介護が中心です。
介護者が旅行などで一時的に介護から解放されたい時に便利です。
利用できる日数には限度が定められています。
・短期入所療養介護
医療機関などに入所し医師などから医療などを受けるサービスです。
・認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
認知症高齢者が自立して共同で生活する施設です。
ヘルパーを含めお互いに助け合い生活をします。
・特定施設入居者生活介護(ケアハウス、介護利用型軽費老人ホーム、有料老人ホーム)
厚生労働省の基準を満たしている特定施設です。
ケアハウスは別名軽費老人ホームと言われるように有料老人ホームよりも割安で利用できるのが特徴です。
・福祉用具貸与
車いす、特殊寝台などをレンタルします。
・福祉用具購入費支給
腰掛便座などの購入費を支給します。上限額は、年間10万円です。
・住宅改修費支給
手すりの取り付けや段差の解消などの改修費を支給します。上限額は、同一住居で20万円です。
地域密着型サービス
・小規模多機能型居宅介護
一つの拠点で通所介護、ショートステイ、訪問介護を提供します。
・夜間対応型訪問介護
ホームヘルパーが定期巡回し緊急事態に24時間対応しています。
予防給付
予防給付は、状態の悪化を防ぎ自立を促すことを目的にした給付で筋肉向上トレーディングや栄養改善、口腔ケアといったサービスがあります。
地域包括支援センター
地域包括支援センターは、被保険者に対する権利擁護事業や介護予防、高齢者家族の総合的な相談・支援業務、ケアマネージャーの支援、要介護認定の申請の代理などを行います。