上場株式

上場株式は、次のうち最も低い価格で評価します。

 

・課税時期の最終価格

・課税時期の属する月の毎日の最終価格の月平均額

・課税時期の属する月の前月の毎日の最終価格の月平均額

・課税時期の属する月の前々月の毎日の最終価格の月平均額

 

課税時期において最終価格がない場合は、課税時期前後で最も近い日の額とします。

 

取引相場のない株式

株式を取得した人が経営支配権を有する場合は原則的評価方式、経営支配権を有しない場合は特例的評価方式で評価します。

原則的評価方式には、類似業種批准方式・純資産価格方式・併用方式があります。

評価方法の判定は次の手順でおこないます。

株式取得者 評価方式
同族株主のいる会社 同族株主 取得後の議決権割合5%以上 原則的評価方式
取得後の議決権割合5%未満 中心的な同族株主がいない場合
中心的な同族株主がいる場合 中心的な同族株主
役員
その他 特例的評価方式
同族株主以外の株主
同族株主のいない会社 議決権割合の合計が15%以上のグループに属する株主 取得後の議決権割合5%以上 原則的評価方式
取得後の議決権割合5%未満 中心的な株主がいない場合
中心的な株主がいる場合 役員
その他 特例的評価方式
議決権割合の合計が15%未満のグループに属する株主

 

類似業種批准方式

類似業種批准方式とは、事業内容が類似する上場企業の業種の株価をもとに自社株を評価する方式です。

評価会社と類似業種の1株当たりの配当・利益・純資産の3つの要素を比較して評価します。

類似業種批准方式の計算

 

A・・・類似業種の株価

B・・・類似業種1株当たりの配当金額

C・・・類似業種1株当たりの年利益金額

D・・・類似業種1株当たりの純資産価格(帳簿価格によって計算した金額)

Ⓑ・・・評価会社の1株当たりの配当金額

Ⓒ・・・評価会社の1株当たりの年利益金額

Ⓓ・・・評価会社の1株当たりの純資産価格

E・・・しんしゃく率 大会社0.7・中会社0.6・小会社0.5

 

Ⓑ・・・評価会社の1株当たりの配当金額

Ⓒ・・・評価会社の1株当たりの年利益金額

 

純資産価格方式

純資産価格方式とは、課税時期に会社を精算したと仮定した場合の純資産価格をもとに自社株を評価する方式です。

 

A・・・課税時期の相続税評価額による総資産額

B・・・課税時期の相続税評価額による負債額

C・・・課税時期の帳簿価格による総資産額

D・・・課税時期の帳簿価格による負債額

E・・・課税時期の発行済株式数(自己株式を除く)

 

 

類似業種比準方式と純資産価格方式との併用方式

中会社は、類似業種比準方式と純資産価格方式との併用方式により評価します。

1株あたりの相続税評価額=類似業種比準価格✕Lの割合+純資産価格✕(1ーLの割合)

※Lの割合→中会社の大=0.90 中会社の=0.75 中会社の小=0.60

 

特例的評価方式

特例的評価方式とは、会社の配当実績に基づいて株価を算出する配当還元価格方式です。

 

特定の評価会社

特定の評価会社とは、資産の大部分が土地や株式であったりするような会社で、原則として純資産価格方式により評価します。

次のような会社が特定の評価会社です。

 

①株式保有特定会社

株式保有特定会社とは、会社の総資産中、株式や出資を50%以上保有している会社のことをいいます。

②土地保有特定会社

土地保有特定会社とは、会社の総資産中、土地等の相続税評価額が一定額以上保有している会社のことをいいます。

会社区分 土地保有割合
大会社 70%以上
中会社 90%以上
小会社 業種 総資産価格
卸売業 20億円以上 70%以上
7,000万円以上20億円未満 90%以上
小売・サービス業 10億円以上 70%以上
4,000万円以上10億円未満 90%以上
その他 10億円以上 70%以上
5,000万円以上10億円未満 90%以上

③比準要素数※1または0の会社

④開業後3年未満の会社

⑤開業前または休業中の会社

⑥精算中の会社

※比準要素とは類似業種比準方式の評価に使用する1株あたりの配当金額・利益金額・純資産価格のことです。

 

 

その他の財産の評価

その他の財産の評価方法は下記のとおりです。

定期預金等

預入残高+相続開始時現在において解約するとした場合に支払いを受けることができる利子ー源泉所得税等相当額

ゴルフ会員権

取引相場のあるもの

課税時期の取引価格×70%+取引価格に含まれない預託金等

取引相場のないもの

株式型会員権=株式の価格

株式・預託金併用型会員権=株式の価格+預託金等

預託金会員権=預託金等

生命保険契約に関する権利

解約返戻金相当額

利付公社債

課税時期の最終価格+既経過利息の額ー源泉徴収税額

割引債

課税時期の最終価格