贈与とは、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与えるという意思表示をし、相手方が受諾することにより成立する契約です。
贈与は、必ずしも書面による必要はなく口頭でもでもよいとされています。
ただし、口頭による贈与の場合は、履行されていない部分について取り消すことが可能です。
この記事の内容
贈与の種類
贈与には次のようなものがあります。
定期贈与
「毎年100万円ずつ10年間贈与する」など定期的に行う贈与です。
負担付贈与
「土地を贈与するのに、借入金の一部を負担してもらう」など受贈者に一定の負担を課す贈与です。
死因贈与
「死んだらこの土地をあげる」など贈与者の死亡により効力が発生する贈与です。
相続税の課税対象になります。
通常の贈与
契約後すみやかに引き渡しが行われる贈与です。
贈与税の計算方法
贈与税は、その年の1月1日から12月31日までの1年間に、贈与により取得した財産の合計額から基礎控除額を差し引き税率を乗じて計算します。
贈与税の課税財産
本来の贈与財産
本来の贈与財産とは、金銭で見積もることのできる経済的価値がある財産のことをいいます。
たとえば、現金・預貯金・有価証券・土地・家屋・貴金属・電話加入権などです。
みなし贈与財産
みなし贈与財産とは、本来は贈与による財産でなくても、贈与を受けたと同じ経済効果のある財産のことをいいます。
生命保険金
満期などにより取得した生命保険金等
低額譲受け
時価に比べて著しく低い金額で財産を譲り受けた場合の、時価と実際に支払った金額との差額
債務免除など
債務の免除や借金を肩代わりしてもらった場合の債務の金額
信託に関する権利
適正な対価を負担しないで信託の受益者となった場合の信託の受益権
贈与税の非課税財産
二重課税の回避や社会福祉政策上の配慮などから贈与税の課税対象とならないものがあります。
・扶養義務者から受け取った生活費や教育費のうち、通常必要と認められるもの
・社会通念上相当と認められる香典、花輪代、祝物、見舞金など
・法人からの贈与により取得した財産(所得税・住民税が課税されます)
・相続開始の年に被相続人より贈与を受けた財産(相続税が課税されます)
贈与税の配偶者控除
婚姻期間が20年以上である配偶者から居住用不動産またはその購入資金を贈与された場合は、基礎控除額110万円の他に、最高2,000万円までが課税価格から控除されます。
適用要件
①戸籍上の婚姻期間が20年以上であること
②居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与であること
③取得の翌年3月15日までにその居住用不動産に居住し、その後も引き続き居住する見込みであること
④過去に同じ配偶者からの贈与について、この特例を適用していないこと
⑤一定の書類を添付した贈与税の申告書または更生請求書を提出すること
贈与税の基礎控除
課税価格から控除される基礎控除額は110万円です。
1月1日から12月31日までにもらった財産の合計額が110万円以下であれば贈与税は課税されません。
贈与税の早算表
平成27年以降の贈与税の税率は、次のとおり、「一般贈与財産」と「特例贈与財産」に区分されました。
【一般贈与財産用】(一般税率)
この速算表は、「特例贈与財産用」に該当しない場合の贈与税の計算に使用します。
例えば、兄弟間の贈与、夫婦間の贈与、親から子への贈与で子が未成年者の場合などに使用します。
基礎控除後の課税価格 200万円
以下300万円
以下400万円
以下600万円
以下1,000万円
以下1,500万円
以下3,000万円
以下3,000万円
超税 率 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55% 控除額 ‐ 10万円 25万円 65万円 125万円 175万円 250万円 400万円 【特例贈与財産用】(特例税率)
この速算表は、直系尊属(祖父母や父母など)から、その年の1月1日において20歳以上の者(子・孫など)※への贈与税の計算に使用します。
※ 「その年の1月1日において20歳以上の者(子・孫など)」とは、贈与を受けた年の1月1日現在で20歳以上の直系卑属のことをいいます。
例えば、祖父から孫への贈与、父から子への贈与などに使用します。(夫の父からの贈与等には使用できません)
基礎控除後の課税価格 200万円
以下400万円
以下600万円
以下1,000万円
以下1,500万円
以下3,000万円
以下4,500万円
以下4,500万円
超税 率 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55% 控除額 ‐ 10万円 30万円 90万円 190万円 265万円 415万円 640万円 引用元:国税庁ホームページより
贈与税の申告について
申告義務者
贈与税の申告書の提出が必要な人は、贈与により取得した財産の合計額が、基礎控除額(110万円)を超える人です。
また、贈与税の納付税額がゼロでも申告要件のある規定の適用を受ける場合には申告書の提出が必要です。
申告要件のある規定
・贈与税の配偶者控除
・直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けた場合の非課税
・取引相場のない株式等に係る贈与税の納税猶予
提出期限
贈与税の申告書は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までが提出期限です。
提出先
贈与税の申告書は受贈者の住所地の所轄税務署長に提出します。