贈与税には一定の金額が非課税になるさまざまな特例制度があります。
その中でも節税効果が大きいのは、直系尊属からの住宅取得資金の贈与税の非課税制度・直系尊属からの教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度・結婚・子育て資金の一括贈与に係る非課税制度の3つです。
それでは具体的にどのような制度なのか、詳しく見ていきましょう。
この記事の内容
直系尊属からの住宅取得資金の贈与税の非課税制度
平成27年1月1日から平成31年6月30日までの間に、直系尊属からの贈与で自己の居住の用に供する一定の住宅を取得するための資金を取得した場合には、住宅資金非課税限度額までの金額が非課税となります。
受贈者の主な要件
・贈与を受けた年の1月1日において20歳以上で、贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下であること
・贈与者の直系卑属であること
・贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得資金の全額を充て住宅用家屋の新築もしくは取得または増改築等をすること
贈与者の要件
受贈者の直系尊属であること
住宅の主な要件
・床面積が50㎡以上240㎡以下であること
・床面積の2分の1以上が居住用であること
・耐火建築物の場合は築後25年以内、耐火建築物以外の場合は築後20年以内であること
・贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住すること
住宅取得資金非課税限度額
受贈者ごとの非課税限度額は、下記の表のとおり住宅用の家屋の種類ごとに住宅取得の契約等の締結時期に応じた金額となります。
消費税10%適用者 | 左記以外の者(注1) | |||
省エネ等住宅(注2) | 一般住宅 | 省エネ等住宅(注2) | 一般住宅 | |
平成28年1月~ 平成31年3月 |
1,200万円 | 700万円 | ||
平成31年4月~ 令和2年3月 |
3,000万円 | 2,500万円 | 1,200万円 | 700万円 |
令和2年4月~ 令和3年3月 |
1,500万円 | 1,000万円 | 1,000万円 | 500万円 |
令和3年4月~ 令和3年12月 |
1,200万円 | 700万円 | 800万円 | 300万円 |
(注1)消費税8%で購入した人や個人間売買で中古住宅を契約した人
(注2)耐震等級2以上または免震建築物・省エネ等級4または一次エネルギー消費量等級4以上・高齢者等配慮対策等級3以上
直系尊属からの教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度
平成25年4月1日から平成31年3月31日までの間に直系尊属が30歳未満の子や孫へ教育資金を一括贈与した場合、受贈者ごとに1,500万円までの金額が非課税となります。
信託銀行などの金融機関に子・孫の名義の口座を作り、お金を預けることで利用できます。
受贈者の要件
30歳未満の人
贈与者の要件
受贈者の直系尊属
教育資金の範囲
①学校などに対して直接支払われる次のような金銭
・入学金、授業料、入園料、保育料など
・学用品費、修学旅行費、学校給食費など
・その他学校等が必要と認めたもの
②学校以外に対して直接支払われる次のような金銭
・学習塾などに関する役務の提供の対価や施設利用料など
・スポーツまたは文化芸術に関する活動その他教養の向上のための活動にかかる指導への対価
・上記の指導で使用する物品の購入費
非課税限度額
受贈者ごとに1,500万円(学校以外の教育資金は500万円まで)
申告方法
受贈者は、教育資金非課税申告書を金融機関を経由して受贈者の納税地の所轄税務署長に提出する。
なお、平成28年1月1日以降はマイナンバーが必要となります。
終了時の取り扱い
①受贈者が30歳に達した場合
口座は終了し残額がある場合は、その日に贈与がったものとして贈与税が課税されます
②受贈者が死亡した場合
残額については、贈与税は課税されません。
結婚・子育て資金の一括贈与に係る非課税制度
平成27年4月1日から平成31年3月31日までの間に直系尊属が20歳以上50歳未満の子や孫の結婚・子育て資金に充てるために資金を一括贈与した場合には、受贈者ごとに最高1,000万円まで贈与税が非課税となります。
信託銀行などの金融機関に子・孫の名義の口座を作り、お金を預けることで利用できます。
受贈者の要件
20歳以上50歳未満の人
贈与者の要件
受贈者の直系尊属
結婚・子育て資金の範囲
挙式費用、結婚披露宴費用や妊娠、出産および育児に要する費用
非課税限度額
受贈者ごとに1,000万円(結婚資金は300万円まで)
申告方法
受贈者は、結婚・子育て資金非課税申告書を金融機関を経由して受贈者の納税地の所轄税務署長に提出する。
終了時の取り扱い
①受贈者が50歳に達した時
口座は終了し残額がある場合は、その日に贈与がったものとして贈与税が課税されます。
②受贈者が死亡した時
残額については、贈与税は課税されません。