相続税は財産に対して課税するため、金銭による一括納付が困難な場合も考えられます。
そのため、延納や物納による納付が一定要件のもとに認められています。
この記事の内容
相続税の延納
延納とは、一定の要件のもと相続税を年払いで分割納付することをいいます。
延納期間中には利子税が課税されます。
延納の要件
次の要件を満たすと延納が認められます。
①金銭で一括納付することが困難であること
②相続税が10万円を超えること
③担保を提供すること(ただし、延納税額が100万円以下で、かつ延納期間が3年以下の場合は不要)
④延納申請期限までに、担保提供関係書類を添付して提出し税務署長に許可を得ること
相続税の延納期間及び延納に係る利子
延納期間は、財産に占める不動産などの割合に応じて次のように定められています。
※ この表の「特例割合」は、平成31年1月1日現在の「延納特例基準割合」1.6%で計算しています。
したがって、「延納特例基準割合」の変更があった場合には、次の表の「特例割合」も変動しますので、延納申請に際し所轄税務署で確認願います。
区分 延納期間
(最高)延納利子税割合
(年割合)特例割合※ 不動産等の割合が75%以上の場合 動産等に係る延納相続税額 10年 5.4% 1.1% 不動産等に係る延納相続税額(を除く) 20年 3.6% 0.7% 森林計画立木の割合が20%以上の森林計画立木に係る延納相続税額 20年 1.2% 0.2% 不動産等の割合が50%以上75%未満の場合 動産等に係る延納相続税額 10年 5.4% 1.1% 不動産等に係る延納相続税額(を除く) 15年 3.6% 0.7% 森林計画立木の割合が20%以上の森林計画立木に係る延納相続税額 20年 1.2% 0.2% 不動産等の割合が50%未満の場合 一般の延納相続税額(、及びを除く) 5年 6.0% 1.3% 立木の割合が30%を超える場合の立木に係る延納相続税額(を除く) 5年 4.8% 1.0% 特別緑地保全地区等内の土地に係る延納相続税額 5年 4.2% 0.9% 森林計画立木の割合が20%以上の森林計画立木に係る延納相続税額 5年 1.2% 0.2% 引用元 国税庁ホームページより
相続税の物納
物納とは、一定の要件のもと相続税を相続財産で納付することをいいます。
物納は、相続税だけに認められている納税方法です。
物納の要件
次の要件を満たすと物納が認められます。
①延納によっても金銭納付が困難である
②申告期限までに物納申請書及び物納関係書類提出し税務署長の許可を得ること
③その財産が物納適格財産であること
物納できる財産と順位
物納できる財産と順位は次のうように決められています。
物納できる財産
・物納申請者の相続税の課税対象となった財産(相続税時精算課税の適用を受けるものは除く)
・課税対象となった財産を処分などして取得した財産
・相続開始前3年以内に被相続人から贈与により取得した財産で、相続税の課税価格に加算された財産
物納の順位
第1順位 国債・地方債・不動産・船舶
第2順位 社債・株式・証券投資信託の受益証券
第3順位 動産
物納財産の収納価格
物納財産の収納価格は、原則として課税価格計算の基礎となった財産の価格によります。
また、収納時までに物納財産の状況に著しい変化が生じた場合は、収納時の現況により収納価格が改定されます。
特定物納制度
特定物納制度とは、相続税を延納中に延納が困難になった人場合に、申告期限から10年以内に限って、分納期限が未到来の税額部分を物納へ変更することをいいます。
超過物納
他に物納に充てられる財産がない場合には、相続税額を超える価格の財産による物納が認めらています。
その場合、相続税額を超える部分の金額は金銭で還付され、譲渡所得の課税対象となります。