障害給付の種類

病気やケガで障害者になったときに要件を満たせば年金や一時金が支給されます。

障害厚生年金

障害厚生年金1級 障害厚生年金2級 障害厚生年金3級 障害手当金

障害基礎年金

障害基礎年金1級 障害基礎年金2級

 

障害基礎年金

病気やケガで障害者になったとき、国民年金では障害の程度により1級または2級の障害基礎年金が支給されます。

受給要件

被保険者の要件 障害の原因となった病気やケガの初診日が①または②のいづれかに該当する場合

①国民年金の被保険者であること

②60歳以上65歳未満の国民年金の被保険者であった人で日本国内に住んでいること

保険料納付要件 原則、初診日の前日において初診日の属する月の前々月までの被保険者期間について、その期間の3分の2以上を保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間で満たしていること。

※特例として、初診日が平成38年4月1日前にある場合は、初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの1年間のうちに保険料納付済期間および保険料免除期間以外の被保険者期間がなければ保険料納付要件をみたしていることとする。

ただし、初診日によって65歳以上の人には適用されない。

障害の等級要件 障害認定日において障害等級の1級または2級の状態にあること

初診日とは、傷病について初めて医師の診断を受けた日のことです。

障害基礎年金の年金額

受給額 子一人当たりの加算額
1級の障害基礎年金 977,125円 1人目と2人目各224,900円

3人目以降各75,000円

2級の障害基礎年金 781,700円

20歳前の初診日がある場合

20歳前に初診日があって20歳の時に1級又は2級の障害の状態にあれば20歳から障害基礎年金が支給されます。

ただし本人の前年の所得によってはその年の8月から翌年の7月までの 1年間は年金の全額または2分の1が停止されます。 

 

障害厚生年金

厚生年金に加入している人が在職中の病気やケガで障害基礎年金に該当する障害になったとき障害基礎年金に上乗せして受給することができます。

1級、2級の場合は障害基礎年金と障害厚生年金が、さらに程度の軽い障害の場合は3級の障害厚生年金だけが支給されます。

また、3級の障害よりやや程度の軽い障害が残った場合は一時金として障害手当金が支給されます。

受給要件

・障害基礎年金の保険料納付要件を満たしていること

・障害の原因となった疾病の初診日において厚生年金の被保険者であること

・障害認定日において障害等級1から3級の状態にあること。3級より軽い場合は障害手当金が支給される 

配偶者の加給年金額 

1級、2級の障害厚生年金の受給権者に生計を維持している配偶者がいる場合には、配偶者加給年金額が加算されます。

老齢厚生年金のような特別加算額はありません。

なお、権利が発生した後に婚姻等により要件を満たす場合にも加算されます。

障害厚生年金の年金額 

障害の状態 支給内容
1級 報酬比例の年金額✕1.25+配偶者の加給年金額
2級 報酬比例の年金額✕+配偶者の加給年金額
3級 報酬比例の年金額
障害手当金 報酬比例の年金額✕2

※報酬比例の年金額とは老齢厚生年金の報酬比例部分と同様の計算式となります。

300月に達しない場合は300月として計算します。

 

遺族給付

年金加入者または年金受給権者が死亡した場合、死亡当時に生計維持関係がある一定の要件を満たす遺族に遺族年金が支給されます。

遺族基礎年金と遺族厚生年金では遺族の範囲が異なります。

 

遺族基礎年金

被保険者または被保険者であった人が一定の要件に該当する場合にその遺族に遺族基礎年金が支給されます 。

受給要件

被保険者の要件 被保険者または被保険者であった人が次のいずれかの要件に該当すること

①被保険者が死亡した

②被保険者であった人が日本国内に住所を有しかつ60歳以上65歳未満で死亡した

③老齢基礎年金の受給権者が死亡した

④老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている人が死亡した 

保険料納付要件 原則、死亡日の前日において死亡日の属する月の前々月までに被保険者期間があるときは当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間と合算した期間が当該被保険者期間の3分の2以上あること

※特例として、死亡日が平成38年4月1日前にある場合は死亡日の前日において死亡日の属する月の前々月までの1年間のうちに保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の被保険者期間がなければ保険料納付要件を満たしていることとする。

ただし、死亡日において65歳以上の人には適用されない 

遺族の範囲

子のある配偶者 婚姻の届出をしていない事実婚関係にある人も該当
18歳到達年度末日までにあるか、20歳未満で1級、2級の障害状態にある未婚の子。

養子や死亡の時胎児だった子も含む。

ただし、胎児は出生の時に遺族となる。 

※死亡した人との間に生計維持関係があることが必要

※配偶者に遺族基礎年金の受給権があるときは子に対する遺族基礎年金は支給停止 

遺族基礎年金の年金額

①子のある配偶者に支給されるの年金額 

年金額 子の加算額 合計額
子1人 781,700円 224,900円 1,006,600円
子2人 449,800円 1,231,500円
子3人 524,800円 1,306,500円

※3人目の子は1人当たり75,000円を加算する

②子に支給される年金額

年金額 子の加算額 合計額
子1人 781,700円 781,800円
子2人 224,900円 1,006,600円
子3人 229,900円 1,081,600円

※3人目の子は1人当たり75,000円を加算する

 

第1号被保険者の独自給付

第1号被保険者が死亡した時、寡婦年金、死亡一時金の受給資格要件を満たしていればどちらかが支給されます。 

 

寡婦年金

寡婦年金は第1号被保険者として保険料を納付した夫が年金を受け取らずに死亡した時に65歳未満の妻に対して支給される年金です。

 受給要件

死亡した夫の要件 ①死亡日の前日において死亡日の属する月の前月までに、第1号被保険者としての被保険者期間について保険料納付済期間+保険料免除期間が10年以上あること

②障害基礎年金の受給権者であったことがないこと

③老齢基礎年金の支給を受けたことがないこと

妻の要件 ①夫の死亡時、夫により生計を維持していたこと

②夫との婚姻関係が10年以上継続していたこと

③65歳未満であること 

支給時期

夫の死亡時に妻が60歳未満 妻が60歳になった日の属する月の翌月から65歳に達するまで
夫の死亡時に妻が60歳以上 夫の死亡日の属する月の翌月から65歳に達するまで

寡婦年金の年金額

第1号被保険者であった夫が本来受給できた老齢基礎年金額の4分の3 

 

死亡一時金

死亡一時金は第1号被保険者として保険料を納付した人が年金を受けずに死亡した場合、掛け捨て防止の意味で一定の遺族に支給されます。

受給要件

死亡した者の要件 死亡日の前日において、死亡日の属する月の前月までの第1号被保険者期間について、下記の期間の月数を合算したとき36月以上あること

・保険料納付済期間の月数

・保険料1/4免除期間の月数✕4分の3

・保険料半額免除期間の月数✕2分の1

・保険料3/4免除期間の月数✕4分の1

※老齢基礎年金、障害基礎年金のいずれも受けていないこと 

遺族の要件 支給を受けることができる遺族の順位は次の順位による

・死亡した人の死亡当時その人と生計を同じくしていた配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄妹姉妹の順 

死亡一時金の金額

合算した月数 金額
36月以上180月未満 120,000円
180月以上240月未満 145,000円
240月以上300月未満 170,000円
300月以上360月未満 220,000円
360月以上420月未満 270,000円
420月以上 320,000円

※付加保険料を3年以上納付している場合は、一律8,500円が加算されます。

※遺族基礎年金を受けられる人がいるときには支給されません。

 

遺族厚生年金 

受給要件

短期要件 ・厚生年金保険の被保険者が死亡したとき

・厚生年金保険の被保険者資格喪失を被保険者期間中に初診日のある傷病で初診日から5年以内に死亡したとき

・1級又は2級の障害厚生年金の受給権者が死亡したとき

長期要件 老齢厚生年金の受給権者又は老齢厚生年金の受給資格期間を満たした人が死亡した時 

※短期要件、長期要件のいずれにも該当する場合には年金請求時に遺族が特に申し出ない限り、短期要件に該当したものとして取り扱われます。

遺族の範囲

支給を受けることができる遺族は、被保険者または被保険者であった人が死亡した当時、死亡した人によって生計を維持していた次の人です。

①配偶者および子

※夫の場合は55歳以上(支給は60歳から)、子については18歳到達年度の末日までにあるか、20歳未満で障害等級1級、2級の状態にあり、かつ、未婚の場合に支給

②父母(55歳以上で支給は60歳から)

③孫(子と同じ)

④祖父母(55歳以上で支給は60歳から)

※兄弟姉妹は対象となりません。

年金額

遺族厚生年金の額は老齢厚生年金の報酬比例部分の計算した額の4分の3に相当する額となります 。

長期要件該当者は実期間で計算します。

短期要件該当者の場合は、被保険者月数が300月未満のときは300月として計算します。

中高齢寡婦加算

子がないために遺族基礎年金を受けられない妻や当初遺族基礎年金を受けていても、子の成長などにより遺族基礎年金が失権となってしまった妻には遺族厚生年金しか支給されませんので年金額の低下を防止する目的で中高齢寡婦加算を行います 。

受給要件 ・原則として夫の死亡当時40歳以上65歳未満である子のない妻に支給される

・例外として40歳に達した時に夫の死亡当時から生計を同じくする遺族基礎年金の支給要件を満たす子のある妻に支給される

支給期間 妻が40歳以上65歳未満の間支給される

ただし、妻が遺族基礎年金を受給する期間は支給されない

経過的寡婦加算

中高齢寡婦加算の対象となっている妻は65歳になると中高齢寡婦加算は行われません。

しかし、昭和31年4月1日以前生まれの妻については65歳以降の老齢基礎年金と遺族厚生年金の合計額が65歳以前に受給していた年金額よりも低下する場合があるので遺族厚生年金に経過的に加算が行われます。