併給調整とは

複数の年金が受けられる場合はどちらか一つの年金を選択しなければなりません。

これを併給調整と言いますが、老齢基礎年金と老齢厚生年金というように一緒に受けられる年金もあります。

また、遺族年金と老齢基礎年金の組み合わせなどの例外が認められています。

 ■併給される公的年金の組合せ

老齢厚生年金 障害厚生年金 遺族厚生年金
老齢基礎年金  併給 選択 65歳前は選択

65歳以降は併給

障害基礎年金 65歳前は選択

65歳以降は併給

併給 65歳前は選択

65歳以降は併給

遺族基礎年金 選択 選択 併給

 

労災保険との併給調整

仕事中の怪我で労災保険の障害補償給付を受けられる人は、同時に厚生年金保険の障害厚生年金も受けることができます。

さらに障害等級1級、2級に該当すれば障害基礎年金を受けられます。

その場合、障害基礎年金・障害厚生年金は全額支給され労災保険が減額されます。

 

雇用保険との併給調整

65歳未満の人が退職により失業した時には、雇用保険から基本手当が支給されます。

ただし、雇用保険から基本手当を受給する場合は特別支給の老齢厚生年金の全額が支給停止となります。

また、高年齢雇用継続給付を受給する場合には、在職老齢年金は本来の支給停止に加えさらに一部が支給停止となります。

 

離婚時の年金分割制度

離婚した時に厚生年金の標準報酬を当事者間で分割することができる制度があります.

この年金分割制度には,合意分割制度と3号分割制度の2つがあります。

合意分割制度 3号分割制度
分割対象となる離婚 平成19年4月1日以降の離婚 平成20年5月1日以降の離婚
分割対象 婚姻期間中の厚生年金の標準報酬 婚姻期間のうち、平成20年4月以後の当事者の一方が第3号被保険者期間中の相手方の厚生年金の標準報酬
分割方法 婚姻期間中の厚生年金の標準報酬が多い人から少ない人に対して分割する 婚姻期間中の第2号被保険者の標準報酬を第3号被保険者であった人に対して分割
分割割合 当事者の合意または裁判手続きにより定められた年金分割の割合(上限2分の1) 2分の1
手続方法 当事者の一方による請求 被扶養配偶者として第3号被保険者であった人による請求 

 

公的年金等の税金

公的年金、厚生年金基金、自社年金及び特定退職金共済等から受ける年金については所得税法上公的年金等として雑所得となり課税の対象となります。

ただし、遺族給付障害給付については非課税です 。

公的年金等とは

・国民年金、厚生年金、国家公務員、地方公務員、私立学校教員等の共済年金

・厚生年金基金、確定給付年金、確定拠出年金

・特定退職金共済、中小企業退職金共済の年金、小規模企業共済の年金などがあります。

 

公的年金等に係る雑所得の計算

公的年金等に係る雑所得=公的年金ー公的年金等控除額

公的年金等控除額

■65歳未満

その年中の公的年金等の収入金額の合計額 公的位年金以外の合計所得金額 
1,000万円以下 1,000万円超

2,000万円以下

2,000万円以上
130万円未満 60万円 50万円 40万円
130万円以上

410万円未満

収入×25%

+27,5万円

収入×25%

+17,5万円

収入×25%

+7,5万円

410万円以上

770万円未満

収入×15%

+68,5万円

収入×15%

+58,5万円

収入×15%

+48,5万円

770万円以上

1,000万円未満

収入×5%

+145,5万円

収入×5%

+135,5万円

収入×5%

+125,5万円

1,000万円以上 195,5万円 185,5万円 175,5万円

■65歳以上

その年中の公的年金等の収入金額の合計額 公的位年金以外の合計所得金額 
1,000万円以下 1,000万円超

2,000万円以下

2,000万円以上
330万円未満 110万円 100万円 90万円
330万円以上

410万円未満

収入×25%

+27,5万円

収入×25%

+17,5万円

収入×25%

+7,5万円

410万円以上

770万円未満

収入×15%

+68,5万円

収入×15%

+58,5万円

収入×15%

+48,5万円

770万円以上

1,000万円未満

収入×5%

+145,5万円

収入×5%

+135,5万円

収入×5%

+125,5万円

1,000万円以上 195,5万円 185,5万円 175,5万円

 

源泉徴収制度

公的年金等については源泉徴収が行われ受給者には税引後の金額が支給されます。

年齢 年金額 税率
65歳未満 108万円以上 公的年金等控除額および各種所得控除額控除後の額に対して5%
65歳以上 158万円以上

 

確定申告

2カ所以上の年金支払者に対して扶養親族等申告書を提出している場合や年金以外に給与所得がある場合などは所得税の確定申告が必要です。

ただし、公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下でありその全部が源泉徴収となる場合において公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下であるときは、所得税の確定申告は必要ありません。