この記事の内容
申告書の提出義務者
相続税の申告書を提出しなければならない人は、相続または遺贈により取得した財産と相続時精算課税の適用を受けて贈与により取得した財産の合計額が、遺産に係る基礎控除額を超える人です。
また、相続税の納付税額がゼロでも申告要件のある規定の適用を受ける場合には申告書の提出が必要です。
申告要件のある規定
・小規模宅地等の相続税の課税価格の計算の特例
・相続財産を公益社団法人等に寄付した場合の非課税
・特例計画山林の相続税の課税価格の計算の特例
申告書の提出期限
相続税の申告書は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内です。
申告書の提出先
申告書の提出先は、被相続人の死亡時の住所が国内にあるか国外にあるかで変わってきます。
被相続人の死亡時の住所が国内 | 被相続人の死亡時の住所が国外 | ||
相続または遺贈により財産を取得した人 | 居住無制限納税義務者 | 被相続人の死亡時の住所地の所轄税務署 | 居住無制限納税義務者の住所地の所轄税務署 |
非居住無制限納税義務者 | 自ら納税地を定めるまたは国税庁長官が指定する | ||
居住無制限納税義務者で出国する人 |
申告義務の承継
相続税の申告書を提出するべき人が、提出期限前に申告書を提出しないで死亡した場合には、その人の相続人は、その相続の開始を知った日の翌日から10カ月以内に、提出すべきであった申告書を提出しなければなりません。
所得税の準確定申告
所得税の納税義務者が死亡した場合には、相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内に所得税の確定申告をして所得税を納付しなければなりません。
申告手続と是正手続
納税義務者が行う申告や訂正などの手続きには次のようなものがあります。
期限後申告書
一般的に税金の申告書は、それぞれ提出期限が決まっていますが、この期限後に提出された申告書を期限後申告書といいます。
そして、期限後申告書はペナルティとして無申告加算税および延滞税が課税されます。
修正申告書
申告した税額が少なかった場合、税務署長の更生があるまでは修正申告書を提出することができます。
更生の請求
申告した税額が多かった場合、一定期間内に限り税務署長に更生の請求をすることができます。
更生と決定
申告がない場合や申告があっても申告内容に間違いがある場合は、税務署長からの更生または決定によって適正な税額が決定されます。
特別な事由による場合
相続税法では、次のような特別な事由による期限後申告や修正申告の場合、無申告加算税や延滞税・過少申告加算税が免除されることになっています。
特別の事由 | 区分 | 手続 |
・申告書提出後に未分割財産の分割が確定した ・認知、相続人の廃除、相続の放棄の取消しなどにより相続人の異動があった ・遺留分の減殺請求により返還するべき金額が確定した ・遺贈にかかる遺言書の発見、遺贈の放棄の発生など |
新しく申告書を提出することになった場合 | 期限後申告書を提出することができる |
申告した税額が少なかった場合 | 修正申告書を提出することができる | |
申告した税額が多かった場合 | 更生の請求をすることができる (その事由が生じたことを知った日から4ヶ月以内) |